CHIKA SATO

DoCLASSE NINE_No.06

東日本大震災を生き抜いた、
40代を見て。

 2011年3月11日、私は嫁ぎ先から震源地にほど近かった実家に帰っていました。叫び声を上げたいほどの激震でしたが、母がとても冷静なので私も落ち着き、水や電気が途絶えることを予測して行動しました。実家は染物屋・料亭を営み、母は長年、家族と店を支えながら采配をしてきた人で肝が座っています。私は当時40歳。結婚して12年がたち、会社を経営する婚家の跡継ぎを授からなかったからと「離婚」を突きつけられ、落ち込み、1ヶ月も実家に閉じこもっていた時でした。役員を務め、経営も学び、私なりの貢献を信じていたのに。
 激震を持ちこたえて11日が過ぎ、街へ出てみると、スーパーの前には日用品を求める人があふれ、「お父さんが死んだ」「子どもを亡くした」と話す女性たちが混じっています。私は自分のことで精いっぱいだったのに、ふと同年代の女性を応援したいと感じたのです。無謀かもしれないけれど東京から、しかもメディアを通して、立ち直った地元の40代の女性を見て欲しかった。
 知人もいない都会でモデル・タレント事務所に登録し、多くの人に会い、少しずつ引き上げてくださる方が現れ、何かできると信じてここにいます。

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MEMBER'S PROFILE

佐藤 千夏 / Chika Sato
モデル・CMタレント、マーケティング・プランニング会社運営

1971年宮城県生まれ。染め物を営む家に生まれる。28歳で環境関連会社の経営者と結婚、2011年の東日本大地震被災後、40歳で離婚を経験する。エンディングノートを書き、再出発を期して上京。42歳からモデルをはじめ、経営知識を活かしたコンサルティングまで活動範囲は広い。