9人委員会インタビュー
株式会社PHILIA代表/「銀座榑沼」経営 村山陽子さん

異なった世界を
繋ぐ幸せ

UP DATE _ 2015.11.20

アフリカへの思い 突き詰めれば自己満足

 アフリカの大地に初めて足を踏み入れたのはエチオピア、早稲田大学時代です。当時の私は35歳で結婚が決まってから大学に入学し、国際教育に興味を持ち、特に途上国の子どもたちの教育に強い関心を抱いていました。その頃、知人がエチオピアに本部のある国連アフリカ経済機構の顧問をしていたご縁で訪問が叶いました。

 エチオピアはアフリカ第2位の人口を抱え、世界最貧国の一つと言われるほどですが、特に貧しい地域では教育を受けられない子どもたちが数多くいます。それでも、とにかく子どもたちは元気で明るく、どこまでもたくましくて、その生命力にあふれる笑顔に逆に励まされる気持ちになりました。こうしたエチオピアでの体験がきっかけで、アフリカで関わる仕事がしたいという思いを強くしていきました。

その後、私は中東のドバイで起業しました。ドバイで仕事をしている際に、マラリア・デング熱対策の一環として、蚊の発生を抑制する製品開発をしている日本企業との出会いが、やがてアフリカでの仕事をするスタートとなりました。マラリアは、蚊を媒介して感染する病気で、結核、エイズに続き世界規模で解決するべき3大感染病の1つです。年間約60万人以上が死亡し、その90%以上はアフリカなのです。特に抵抗力の弱い5歳以下の子どもの死亡率が高く、アフリカでは1分間に1人の子どもが死亡していると言われています。そして、私がずっと願っていたアフリカでの仕事は、この日本企業が開発したマラリア・デング熱を防ぐ水質浄化製品を広めることと決めてスタートしました。
 現地での仕事は、試行錯誤と失敗の連続で、やっと進むかと思えば後退し、人から見れば何をやっているのか、なのですが(笑) 、私は自分が信じる事に対しては常に前向きです。よく人から「なぜ諦めないのか?」と聞かれますが、突き詰めると自己満足ですね。いま自分が一番やりたいこと、行きたい場所、その地が危険で過酷であっても、私自身がその場にいる時に最もやり甲斐を持つことができ、いつか役に立つ、この製品を信じている、という思いが強くあったからでした。微力ですがこれはライフワークと位置づけています。
 現在は、日本で違う仕事をスタートしたので、しばらくアフリカへ出向く時間がありませんが、日本での仕事が軌道に乗ったら再びアフリカで挑戦したいと決めています。

私の悩みなんて小さい、と思える

私の20代から30代前半は、若さ、体力、気力に満ちた勢いで突っ走ってきましたが、30代後半から40代に入ると、気力、精神面で大きな違いが出てきました。海外での仕事に取り組む忙しい毎日なのに、なぜか今一歩やる気がなく、どんよりと理由もなく落ち込んだり、不安になったりする日が増えていきました。今までなら多少の辛さは平気で乗り越えられたのに、ささいなことで気持ちが不安定になるのです。これまでの元気と気力はどこに行ってしまったのか・・・その頃の日記を読み返すと、苦しい状況から抜け出す方法をあれやこれやと考え必死でもがいていた私がいます。最終的な答えは、「なぜ、こんな小さなことで悩んでいるのだろう、こうして安全な日本で、食べる物にも困らず生活出来るだけでも充分幸せなのに。もっと気合を入れろ!」でした(笑)

 私が今まで訪問した国々は政治状況も不安定、危険で過酷な環境、そして、食料も水も不足していて日々の生活さえままならない。でも日本は、天災は別として、何よりも命の危険がなく毎日を過ごせます。この環境がいかに幸せか。他の国から日本を見て改めてその素晴らしさを知ることが出来たのは大きな学びの1つです。

第4の人生がスタートしました!

 私は今までの50年間を3つに区切って見ているのですよ。第1の人生は21歳まで、第2の人生は、家族を支えて働いた21歳から35歳で結婚するまで、第3の人生は結婚、大学卒業、事業経営とめまぐるしい50歳まで。それぞれに新たなチャレンジをし、そして第4の人生が今年50歳で始まりました。今回のチャレンジは、銀座での夜の社交場のオープンです。私はかつて大阪で40人以上を抱えるクラブを経営していましたが、結婚を機に閉め、いつか50歳ころには、小さく気軽なお店をもう1度と願っていました。

 その念願が叶い2015年9月に現在の店をオープンしました。私やスタッフがいきいきと新たな才能にトライし、ここで成長出来るのを楽しみにしています。例えば、日本の伝統文化や着物が好きなスタッフが京都で帯のデザインをし、その帯を締め店に出ています。開店記念品は、佐賀の窯元へ紅白の鯛の箸置きを焼きに行きました。また、勉強会も毎月開催し、私たちが楽しくてワクワクするお店を作ってお客様にも楽しんでいただきたいのです。
 大好きな日本の伝統文化である三味線やお琴の演奏をはじめ、ご縁のあるアフリカ諸国を知っていただく企画も構想中です。大使館にご協力いただき、その国の食べ物、飲みもの、文化や生活を感じていただく。また、アフリカに関連するパーティーへの参加など、アフリカをもっと身近に感じていただくアイデアも次から次へと溢れています!やっとこの年代になって自然に人と人とのご縁を繋げられるようになりました。それが何よりうれしく、新たな可能性の広がりに気持ちが弾みます。DoCLASSEのファンのみなさま、50代は楽しいですよ!

村山 陽子/Yoko Murayama
株式会社 PHILIA 代表取締役

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