9人委員会インタビュー
エイジング・マネジメント・アドバイザー
木村 真弓さん

「美人ぐせ」を人生に!

UP DATE _ 2016.07.28

娘を抱いてファッション現場へ

 24歳で結婚、26歳で長女を授かりました。勤務先はすでに退職して家庭に入っていましたが、声をかけてくださる方があって、読者モデルとして雑誌に出るようになり、そこからまた人づてに紹介があってレセプションやイベントに参加するなど世界が広がっていきました。やがてアパレルメーカーさんのファッションショーにも関わり、美の現場は「元気」が満ちている、美しいことは健やかなんだなと感じるようになっていきました。きっとそれは、前を向くパワーなのかもしれません。
 まだ小さな娘がいると知っていても、拒まれない。預かってもらう手がなくて現場に連れて行けば、若いカメラマンさんやスタッフさんが、優しく面倒を見てくださった。娘の耳元で「ほら、あの服きれいね」とか「見てご覧、光があたってキラキラしてる」とか、いろいろ誘導して(笑) 、いまあなたがいる場所は素敵よとささやいていました。仕事をしている大人の中で、娘なりにどうしていればいいのかを感じ取っていたのでしょう。私を追って泣いたりぐずったりすることはほとんどなく、例えばファッションショーのようなイベントでも心配することはありませんでした。
 現場へいくのは当時週2回くらい。4年後に次女が生まれてからも、長女がしっかりと「小さなママ」として妹の面倒を見てくれて本当に助けられました。子どもは、大人が考えている以上に、いま何が大切かを感じ取る力があり、するべきことを知っているのだなあと驚くばかりです。

自分の心を聴いてあげて

 女性は家庭を持つと、夫と子供がいるからやりたいことを抑えなくてはと思いがちですが、そうすると本当に何もできなくなってしまいませんか。そういう私も例にもれず「超」のつく完璧主義ではありました(笑) 。家族の食事はすべて手作り、お掃除、洗濯はもちろんのこと、一輪でも花を飾り、インテリアを整え、娘たちと一緒ならきれいなお母さんで出席する。それは楽しく、嬉しく、誇らしい毎日です。私は、それが当然であるという家庭で育ちました。今はその教育もありがたかったと分かりますが、女性は能力が高いゆえに、出来ることは何でもとことん一生懸命になってしまう。家庭と仕事を両方持つ人はなおさら、どちらも100%を目指してしまう。そうして周囲の期待に応えるうちに「私」は置き去りになるんですね。
 そのうえ私には、完璧にやらずに怠惰に日々を過ごす女性を見て、「なぜ、ちゃんとしないのかしら」とイライラした時期がありました。諭してくれたのは夫。「人にはそれぞれキャパシティがある。君のペースを押し付けるのはエゴ以外の何物でもないよ」と言われてハッとしました。自分が自分に課したルールを絶対だと思っていたなんて。完璧主義が悪いわけではなく、それを実行するために何を犠牲にしているのかを分析したり、振り返ったりすることが大切なの かもしれません。「大事なことはなんだっけ?」そうやって本音に耳を澄ますこと。私はようやくそれを知る出会いがありました。

女性の輝きは身体に宿る

 忙しいのは当たり前、そしてその押し寄せる日常をこなしていくのも当たり前な時代。女性といえども、いいえ、女性ならなおさら効率よく、家族にも仕事にも迷惑をかけずにやるべきことは山積みです。それでも、自分で引き受けたからには弱音を吐いては入られない。私は2年ほど前までまさにそんな状態で、カッコつけて突っ張って、「なんとかしてみせるわ」と頑張ってきました。
 変わったのは、藤岡玲子さんのバレリーナストレッチに出会ったことから。先生は「心の芯は強く、揺るぎないままでいいのよ。でも手や足、動作は柔らかく、美しく。あなたが生まれながらに持っている女性らしさを感じてあげて」とおっしゃった。そして女性らしい動きを学ぶうちに、涙がでるほど癒やされていく自分を感じました。忘れていたのです、自分をいたわる感覚を、自分の女性性を受け入れて愛する気持ちを。どうでしょうか、あなたはデコルテの美しさを忘れていませか。手首から指先への曲線が美しいことを知っていましたか。私は、女性を輝かせるエイジング・マネジメントの仕事を長く続けていながら、スケジュールやさまざまなことに対応する努力を優先させていて、自分をゆっくり感じることはありませんでした。そういえば、家族に何かこぼす、なんてこともしていなかった。美しさへの努力をしているけど、、、おじさんだったの?(笑)
 ふたたび先生の言葉です。「美しい鎖骨にありがとう」「私の身体よ、ありがとう、そう言ってあげてください」。これは、私が提案している「美人ぐせ」にも通じると思います。美しい心と体で生きることを習慣にするのは、女性の幸せの一つですよね。

木村 真弓/Mayumi Kimura
エイジング・マネジメント・アドバイザー
1969年神奈川県生まれ。20代から雑誌の読者モデル、レセプションやアパレルのイベントなどを依頼され始める。結婚、出産を経ても活動を続け、現在まで雑誌などの美容ライターや企業の商品企画、広報などに携わり、女性が健康で美しく年齢を重ねる情報発信やアドバイスを行っている。夫、2女がある。
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取材協力
龍岡玲子/バレリーナストレッチ
http://reikotatsuoka.com/